雲と私情

創作品

よくわかんないよ

 

〇よくわかんない事

 

・春の音楽が良過ぎる事

・花が散る事

・暑いと虫たちが踊り出す事

・僕にはリビドーはもうからっきしな事

・そんなの欺瞞だって一蹴する意志だけは残っている事

・生きる事

・死ぬ事

・そういう事を考えて死に向かっている事、それ自体に既に酔っている事

・恋に恋するのを否定する事

・それでも春は生きているし僕だって生きている、その事を自然が知らしめる事

・ずっと以前からそんなのは当たり前である事

・そんなのに悩んでいる振りをする自分こそが欺瞞である事

・春荒れの中で遂行する人生遡行が痛い事

・社会人5年目の肩書きに傷付いている事

・今日に小雨が降る事

・明けない夜はないと、夜明け前がただ暗いと、この先に待つ明日はさぞ輝いている筈だと自分だけは信じて止まない事

・音楽のオの字も忘れた事

・そもそも知っていない事

・知っていないものを知ろうとする事

・僕なんかが知り得る事の全て、実は初めから皆が知っている事

・皆が知っている事をわざわざ知ろうとする事

・昼に起きるのが辛い事

・夜を生きるのが当たり前になっている事

・それがどうしようもなく辛い事

・電車やYoutubeの広告で多様性の三文字を見掛ける事

・それだけ世の中は優しく出来上がっているという事

・そんな事は思ってもいない事

・思ってもいない事を文字に書き表せる事

アイロニー6割で生きている事

・多様性の世の中なので、喫煙者なんかは排斥されるべきマイノリティとして扱われる事

・僕は喫煙者ではないのにそんなどうでもいい事実を嘆いている事、けれど非喫煙者としてその政治的な恩恵を確かに受けているであろう事

・米国ではTiktokが禁止される事

・酒でも煙草でもなく、音楽だけが春の夜の夢と等価値に位置している事

・皮肉6割の人間なのに人を勇気付ける音楽ばかり好きな事

・強い音や強い言葉が好きな事

・僕の中で響くのはいつだってそういうものだった事

・最近になってその真実に気付いた事

・それ自体、何ら悪い事じゃないと開き直れる事

・強さと優しさは必ずしも等加速度運動のように比例はしない事

・春に聴く曲は大抵が等加速度運動の上で成り立っている事

・それをぶち壊す音こそが、僕が本当に聴きたい音楽である事

・破壊を期待している事

・そんなに気分は悪くない事

桜木町の桜はもう散っている事