雲と私情

創作品

最近驚いた事(驚きと衝動は近しいと思ったので、これは創作の代用品である)。

〇驚いた

 

ハーバード大学の研究によると、全ての道はローマに続いてるらしい

・僕の一年と二か月から先の将来は白紙、人生を地図に例えるならば、全くの空白である

・これから先には夢がない

・食欲も睡眠欲も性欲もあるが、それらをリビドーと呼べば自分の衝動に疑いが掛かる

・生物学的に、人間は今している事を取り止めて異なる事をするのが苦手らしく、同じサイクルに留まる傾向がある

・じっさい僕は一年弱、山を下らずに行けるスーパーが家から殆ど同じ距離にあるにも拘わらず、山を下って行くスーパーに自転車を漕いで通っていた

・節分は通常は2月3日である

・そんな事も良く知らない自分

・レジ脇に放置された他人のレシートにある肉という字

・そのレシートで抽選に応募してやろうかと考える自分

・結局は辞める自分

・そもそも合計金額が応募の対象でないと気付くまでの遅さ

・夜勤をしていると休日一日は自由に過ごせない意味で休日ではない

・その事にハッキリと気付くまで一年弱を要する自分の頭の悪さ

・自分の浅学さ

・こんな僕でも学士だという事

・学士でも年中夜勤をしている事

・学士と云う地位を鼻に掛ける自分

サイゼリヤで一人で食べるラム肉、ムール貝、モッツァレラピザ、ティラミスの美味さ

サイゼリヤの向かいの席に誰かの影を見る僕の脳信号

・半年弾かなかったギターの弦が、錆びるどころか切れている事

・弦を張り直せばなんだかんだで今も音が出せる事

・実はそれほど常に、上司の頭を鏡月の瓶でパッカーンと割りたいと思っている訳ではない事

・黴は自然に生えるが僕は脳死では生きられない

・一人暮らしするまでそんな事もわからずにいた僕

・僕は一人では生きて行けない

・僕は良く知らない間柄の人から嫌われ易い

・僕は良く知らない間柄の人から好かれ易い

・そもそもが良く知らない間柄の人間が僕の周りには多い

・地球の内包する人間の数自体が多い

・人間が多い

・自分の、他人への興味の無さ

・自分への理解の無さ

・烏賊刺しの美味さ

・無欲でいられない

・欲しかない

・僕はいつか死ぬ

・托鉢の僧も死ぬ

・皆んな死ぬ

・自分はマイノリティであり、マイノリティに理解があると思い込みつつも、自分が異性用の着る服を購入することにはかなりの躊躇いを覚え、結局はウィメンズの範疇に落ち着く僕

・実の所、酒はこの世には不要という真理

・殺菌水と表記のある謎の水の胡散臭さ

・アルコールという文字列への信用性

・アルコールの有用性

・酒の必要性

・冬に冬眠しないという悪文化を作った御先祖様の馬鹿さ加減

・冬に冬眠をする冬眠鼠の賢さ

・せめて冬ごもりはする熊の世渡りの上手さ、熊よりも馬鹿な人間という種族の如何しようも無さ

・熊がしているのは冬眠ではなく冬ごもりである、という事実を知らない人間に、マウンティングを仕掛けようとする自分の阿呆さ

・再配達の申し訳の無さ、面倒さ

・洗濯機での洗濯の終わる早さ、容易さ

・自分で洗濯したり干す事の面倒さ

・冬の一人暮らしの電気代、プロパンガス代の高さ(簡単に五桁に行ってしまう)

・部屋の汚さ

・句の美しさ

・空の青さ

・太陽の眩しさ

・月の白さ

・僕が友人と共に文学フリーマーケットに出るらしい

・何のアイデアも僕には無い

・朔太郎が似た事を言っていたのを思い出す僕

・僕

・そもそも僕は安心が欲しくて、その為に金を貯めているのだが、安心という熟語に足るだけの金はいつまで経っても貯まらず、ただただ足りない、満たされないと感じるだけで、そう感じている時間の長さは安心しきっている時間よりも遥かに長く、そもそも生物的に何にも怯えずに暮らすのは不可能だという事に気付かずに、こうして安心ばかりを求めている自分の資本主義社会への適応性は相当の物である

ハーバード大学の最新の研究によると、全ての道はローマに続いては無いらしい

・哲学的には今というのは存在しないらしい

・空無というのは無いらしい

・何も申し分が無い

・春が近い